2019.06.07
せんべい屋の甘酒カヌレ
5年前に誕生した「和菓子老舗 若き匠たちの挑戦(通称ワカタク)」の第1期
若くなくなってきた微妙な年齢の匠たちは2019年6月のイベントで卒業となる。
誕生のきっかけとなる横浜の一夜からこれまで、和菓子の面白さを伝えるため和菓子屋仲間は当然のこと、
百貨店、その他関係者とともに必死で駆け抜けて来た。
その中心人物ムチャブリバイヤー畑くんと大垣で話したとき
「今回で最後だから思いっきりやってください。
今まで挑戦して来たことの集大成として、生菓子っぽい焼き物やれませんか?」との依頼。
「カヌレなんか面白いかもね〜」なんて気軽に話した。
最初にイメージしたのは
・田中屋が昭和30年代に作った人形焼きの型を使って焼くこと。
・カヌレとポン・デ・ケージョの間みたいなモチっとした焼き菓子
・糀の甘酒を使うこと
毎度のごとく誰も作ったことない(と思われる)商品をゼロから試作する旅が始まる。
最大の難関は人形焼きの型を使うことだった。
結論から言うと無理だったw
屍の山を築いて、きっぱり諦めた。
膨らむ生地は密封の型で爆発します。
それはもうどうしても抑えられないバーニンラブ。
配合と焼成時間、温度の調整も難航。
せっかく甘酒使うんだったら無糖で行こう!
そしてとことんシンプルな原材料で!
モチっとした食感が3日は持つようにしたい!
ということで、糀甘酒、白玉粉、小麦粉、卵、小豆だけで作ったお菓子だ。
配合的にはカヌレというよりはファーブルトンのイメージ。
小豆は京都宝泉堂さんの絶品茹で小豆(当然無糖)
ハッキリわかりやすい美味しさではない。
みんな大好きと行列を作るようなお菓子でもない。
気に入ってくれた人は何度も何度も食べたくなる味だと思う。
だいたいそんな菓子ばっかり作っとるけどw
ぶっちゃけ、お砂糖使えば、もっとわかりやすくて美味しいのができます。
でも、それは私じゃない誰かがやる仕事。
ネーミングもカヌレかファーブルトンか迷ったけど
わかりやすくカヌレで。
見た目もカヌレの方がダントツかわええしw
「せんべい屋の甘酒カヌレ」
6/12(水)~18(火) 二子玉川の高島屋
「和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」
https://www.takashimaya.co.jp/tamagawa/wakataku/index.html
にて限定販売します。
正直に告白するとオーブンが変わるので初日はどうなるかわかりません。
納得いかなければ、売り場に並ばないこともあり得ます。
始まる前から不安で不安でファンデーション塗って顔色隠したいくらいです。
菓子屋として腕なんて全然ないのにこの5年間こっ恥ずかしくも匠の1人として活動させてもらいました。
最後の最後まで背伸びして挑戦します。
皆様の期待に応えられるよう最後の最後まで調整を続けます。
お楽しみに〜!!
ちなみにカヌレは4月の商品撮影に間に合わず、急遽ピスタチオのお煎餅を焼き提出しました。
これもすごく美味しいです。
このレベルの新作煎餅ならいつでもパッとできるところまでは来ました。
そうじゃないものを作るのはものすごいストレスフルだけど、そこに安住するのは本望じゃないのでw
六代目 田中裕介拝